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シェアホルダーアクティビズムが活発化する日本:世界から視線を集める場所に

2018年、アジアにおけるアクティビストのキャンペーン件数が、初めてヨーロッパ(英国を除く)を上回りました。特に日本は顕著で、キャンペーン件数が前年比40%増の47件に達し、米国を除けば、世界で最も件数が伸びている国となりました。アクティビストへの対応には、市場や投資家に対する、より積極的なコミュニケーションが求められます。この課題に直面している日本企業から、欧州やアジアの企業は、今後、教訓を得られることになるでしょう。

コーポレート・ガバナンス(企業統治)とシェアホルダーアクティビズム(物言う株主)

日産自動車とカルロス・ゴーンの問題が話題になったので、日本におけるコーポレート・ガバナンスが、不十分もしくは最悪の状態にあると思われているかもしれません。しかしながら、日産自動車は、株式の40%以上が海外大株主に保有され、18年以上も外国人CEOにより経営されており、日本企業の典型と捉えることはできません。

2019年4月10日、私は、日本におけるコーポレート・ガバナンスとシェアホルダーアクティビズムの高まりをテーマとしたパネルディスカッションのモデレーターをつとめました。パネルディスカッションには、日本市場で最も「物を言う」アクティビストで、香港に拠点を置くオアシス・マネジメント(オアシス)のセス・フィッシャー氏と、自称「対立的アクティビスト」として東京に拠点を置くストラテジック・キャピタルの丸木強氏らが参加しました。

日産自動車の例を除けば、コーポレートガバナンス・コード(企業統治の行動指針)とスチュワードシップ・コード(機関投資家の行動指針)の導入により、日本におけるコーポレート・ガバナンスは全体的に著しく改善したという点でパネリスト全員の意見が一致しました。

上場企業による株式持ち合い比率は、1990年代の35%から10%未満に下がったほか、親子上場は2007年をピークに、40%減少しています。

さらに興味深いことは、経営陣のアクティビストへの反応がより早くなり、CEOやCFOとの対話において誠実さがより強く見受けられるようになったと登壇したパネリスト全員が口を揃えました。また、最も重要なことですが、経営陣がこの様な対話を行った後、企業が実際に行動を起すケースが増えてきたという意見もありました。経営陣は、様子見の姿勢でいることが企業や自分たちにとって役に立つというよりむしろ危険性を増加させるということを認識し始めているようです。

需要が高まる専門アドバイザー

最近まで、日本におけるファイナンシャル・アドバイザーの役割は、特に海外での大規模買付をはじめとした、M&A案件のサポートが中心でした。しかし、彼らの注力分野が変わりつつあります。日本の顧客に対し、アクティビスト(物言う株主)対応に関する有益な情報を迅速に提供する領域を強化しており、これが重要な成長分野になっています。

アクティビストと経営陣との対話が、会議室内に止まらず、公の場にまで広がりつつある中で、リーガル(法務)アドバイザーやPRアドバイザーもそれぞれの領域で企業に対するサポートを行っています。安倍政権がコーポレート・ガバナンス改革を推進していることも加味すると、日本企業は、アクティビストと積極的に対話していくほかないでしょう。

海外の機関投資家と国内の機関投資家との違い

最終的には、アクティビストを最も強く支持しているのは、他の株主です。海外の投資家や資産管理会社は、リターンと配当金の増加に繋がるアクティビストの有意義な提案や要求をより支持するようになり、彼らが積極的に発言してくれることを喜んでいます。

しかし、前述の4月10日のパネルディスカッションで、日本の多くの機関投資家に関しては、依然として状況が異なるとパネリストが指摘しています。ベテランの弁護士でCMCパートナーズの設立者でもある清原 健氏は、海外の投資家と比べると、日本の投資家の大半はどちらかといえば消極的な行動を取っていると述べました。

ただ、パネリスト全員、この静かな投資家たちも、経営陣に対する圧力を強めていくのは時間の問題だという認識で意見が一致しました。

日本から学べる教訓

1年前、私はNikkei Asian Reviewに、シェアホルダーアクティビズムの観点で日本はドイツから何を学べるかという記事を寄稿しました。1、2年後には、日本が教訓を提供する側に立っているかもしれません。日本企業が、シェアホルダーアクティビズムに直面する機会が急速に増えていることから、日本でも株主との関わり方に関する新たな慣行やルールが形作られていくでしょう。

今後、多くの日本企業の隠れた価値が体系的に掘り起こされ、数年後には全く異なる姿になっているでしょう。最近、ウォール・ストリート・ジャーナルが報道したように、オリンパスのような伝統的な日本企業が、米ValueAct(バリューアクト)のようなアクティビストから専門知識や実績を提供され、真のグローバル企業へと急速に変貌を遂げようとしています。

日本では、今、すべてのステークホルダーとの積極的かつ専門的なコミュニケーションが急速に求められています。これはより厳しい要求をしてくる株主への対応と同じことです。このような変化は、世界の視線を日本に集め、日本で起こっていることが分析の対象となるでしょう。またアクティビストは、投資先として日本に高い関心を持つようになるでしょう。